ホテルの光熱費を最大50%削減!セントラル給湯から「個別給湯」へ切り替えるメリットと選び方
ホテルや旅館をはじめとする設備管理者にとって、セントラル給湯システムによる光熱費の高騰は大きな課題です。「お湯が出るまでの待ち時間」が長いほど、無駄な水道代と燃料費がかさみます。
本記事では、セントラル給湯のコスト構造を解明し、解決策として「小型電気温水器」による個別給湯方式を提案します。捨て水や放熱ロスの削減メカニズムから、失敗しない選び方、導入事例まで解説します。
セントラル給湯の光熱費はなぜ高い?隠れた3つの原因
セントラル給湯方式は、大規模な熱源から長い配管で施設全体へ給湯するため、構造的に3つの「隠れたコスト」が発生します。
原因1:お湯が出るまでの「捨て水」
蛇口をひねってからお湯が出るまでに流れる冷水が「捨て水」
です。例えば、直径13mmの配管が20mある場合、
約2.6リットル*の水が滞留しています。
利用者がお湯待ちを繰り返すことで、年間数万リットルの水と、
それを温めるボイラーのエネルギーが無駄になります。
これは「お湯が遅い」という利用者クレームの原因にもなります。
*算出根拠:13mm配管(給湯で一般的な架橋ポリエチレン管・内径12.8mm)20mの容積計算による。
[計算式:半径 0.0064m × 半径 0.0064m × 円周率 3.14159 × 長さ 20m × 1,000 ≒ 約2.57L]
原因2:長い給湯配管からの「放熱ロス」
ボイラーで沸かしたお湯が、長い配管を巡る間に熱を奪われる現象です。断熱材が劣化しているとさらに熱が逃げ、ボイラーは温度維持のために余計に稼働します。利用頻度が低い時間帯も循環ポンプを動かす必要があり、電力・燃料コストがじわじわと上昇します。配管からの放熱だけで供給熱量の約50%ものロス(熱損失)が生じているというデータもあります。
原因3:セントラル方式の致命的な弱点:配管老朽化による全館休業リスク
セントラル方式を採用する施設にとって、給湯配管の老朽化は単なる修繕費用の問題に留まりません。客室ごとに独立している「個別給湯」とは異なり、セントラル方式は「一箇所の配管トラブルが、系統内すべての客室を止める」という構造的なリスクを抱えているからです。実際に配管の破裂や漏水、更新工事が発生した場合、広範囲の客室で給湯を止めざるを得ず、施設の一時休業を余儀なくされます。設備更新にかかる数百万〜数千万円の直接投資に加え、営業停止期間中に発生する巨額の機会損失は、経営基盤を揺るがす深刻な事業リスクとなります。
光熱費削減の鍵は「個別給湯」。小型電気温水器という選択肢
セントラル給湯の課題を根本から解決するのが、お湯を使う場所のすぐ近くで必要な量だけを沸かす「個別給湯方式(分散管理)」です。この方式を最適なかたちで実現するのが、「小型電気温水器」です。
セントラル給湯方式と個別給湯方式の違い
• セントラル給湯方式: 1つの大型熱源から建物全体へ配管で供給。大量給湯に向くが、捨て水・放熱ロスが多い。
• 個別給湯方式: 洗面台やシンク下に個別の小型給湯器を設置。配管が極めて短く、ロスを最小限に抑えられる。
小型電気温水器が課題を解決する仕組み
洗面台の真下や浴室の天井裏(東京都は消防法により隠ぺい不可)などに設置すれば、配管距離はわずか数十センチになります。
• 捨て水の解消: 蛇口をひねってすぐにお湯が出るため、捨て水がほぼゼロになります。
• 放熱ロスの排除: 長い配管自体が存在しない、または極短いため、移動中の熱損失がありません。
「必要な時に、必要な場所で、必要な量だけ沸かす」仕組みにより、水道光熱費の大幅な削減が可能になります。
【徹底比較】セントラル給湯 vs 瞬間式小型電気温水器
長期的な「ライフサイクルコスト(初期費用+維持費)」の視点で両者を比較します。実際の提案実績に基づいた「100室規模(初期費用)」および「200室規模(ランニングコスト)」の具体的なシミュレーション金額も交えて見ていきましょう。
| 比較項目 | セントラル給湯方式 |
瞬間式小型電気温水器 (個別給湯:DHB-E LCD) |
導入メリット・削減効果 |
|---|---|---|---|
|
初期費用 ※100室規模での試算 |
3,820 万円 (給湯器購入、ガス引き込み、 温水全館配管等を含め大規模な費用が必要) |
3,040 万円 (機器台数は増えるが、温水用の全館配管が 不要なため安価。段階的導入も可能) |
初期費用約20%カット 約 780 万円 の削減 |
|
ランニングコスト ※200室規模での試算 |
約 2,189 万円 / 年 (24時間絶えずお湯を循環させるため、 捨て水・放熱ロスにより高止まりしやすい) |
約 1,022 万円 / 年 (ロスが無く、使うその瞬間に 必要な分だけを沸かすため劇的に安価) |
年間維持費約53.3%カット 年間 約1,167 万円 のコスト削減 |
| メンテナンス・管理 |
法定点検が必要 (高額な維持費がかかり、万が一の故障時は 施設全体が給湯停止するリスクも。) |
基本メンテナンスフリー (法定点検の手間がなく、故障時も 影響は1台のみ。復旧・交換も容易。) |
管理負担の軽減 & BCP対策 (システム全体停止の事業リスクを排除) |
※1 導入コスト算出方法(100室の場合)
・セントラル給湯方式:ガス式50号給湯器×12:9,000,000円+ガス引き込み・配管費用概算:9,200,000円+温水全館配管費用:18,500,000円+設置費用概算:1,500,000円
・個別給湯方式:DHB-E LCD×100:15,300,000円+設備工事費:1,500,000円+400V受電設備:5,600,000円*a+電気配線工事:8,000,000円*b
*a, *b:近年(2018年〜2026年)における主要部材(銅および各種電線・金属管類)の世界的な高騰、および建設業界の働き方改革にともなう人件費(電工等の設計労務単価・人工)の急騰を受け、実勢価格(従来比約1.5倍〜2倍)を反映。
※2 ランニングコスト算出方法(200室の場合)
・セントラル給湯方式:24台×100,000Kcal/h*1×8%(平均使用率)÷10,755Kcal*2×24時間×365日×140円/㎥*3
・個別給湯方式:電気料金:24kW×22.0円/kWh*4×0.16時間×75.5%(満室率)×200部屋×機器稼働率*5=2,912,000円/年+基本料金*4:7,314,048円/年
*1:ガス50号の熱量
*2:東京ガス13A 1㎥あたりの熱量
*3:ガス単価概算(2026年原料費調整および政府支援等を加味した業務用想定価格)
*4:基本料金 1,814円/kW/月、電力量料金 22.0円/kWh(高圧季節別時間帯別契約等を想定し、直近の基本料金改定や燃料費調整・再エネ賦課金を加味した平均実効単価)*東京電力契約プラン等参照。最大同時使用率(200室7%)による受電契約電力約336kW。
*5:機器稼働率:夏季42%、その他68%(条件:出湯温度42℃、流量9L/min、入水温度は東京都水道局 令和5年度の都庁付近年間平均水温:約17.5℃による)
記載の料金は算出条件に基づく数値であり、実際の金額を保証するものではございません。
初期費用・維持費ともに個別給湯が有利な理由
セントラル給湯では、全館にお湯を行き渡らせるための
「大規模な全館配管工事」に莫大な費用がかかります。
一方、瞬間式(個別給湯)は機器台数こそ多くなりますが、
この温水用の全館配管が不要になるため、
初期のトータル工事費を大きく抑えられます。
さらに、導入後は「無駄な捨て水」や「配管からの放熱ロス」が
一切なくなるため、稼働すればするほど水道光熱費の差が開いていきます。
効率を最大化するなら、小型電気温水器の中でも「瞬間式」
個別給湯(分散管理)に使用される小型電気温水器には、
お湯をタンクに貯めておく「貯湯式」と、使う瞬間にその都度
沸かす「瞬間式」の2種類があります。 セントラル給湯の最大の
弱点であった「無駄な熱ロスや維持費」を徹底的に排除し、
省エネ効果を極限まで高めるためには、「瞬間式」の選定が最も
効果的です。 なぜなら、瞬間式には貯湯式と異なり
「お湯を保温し続けるための待機電力」が一切発生せず、
必要な時に、必要な分だけを無駄なく沸かすことができるからです。
失敗しない!業務用 瞬間式電気温水器の選び方4ステップ
コスト削減メリットを確認したところで、ここからは自社に最適な瞬間式電気温水器を選ぶための4つのステップを解説します。
Step1:設置場所の用途から「必要流量(号数・kW数)」を選ぶ
瞬間式電気温水器は、使うその瞬間に水を温めるため
「お湯切れ」がありません。その代わり、用途によって
必要な電気のパワー(kW数・号数)が異なります。
「手洗い用(少量)」か、「厨房の洗い物用(中量)」か、
「シャワー用(大量)」か、利用シーンに合わせて最適な
給湯能力のモデルを選定します。
Step2:建物の「電気容量・電源環境(ボルト数)」を確認する
設置場所の電源環境が「単相200V」「三相200V」
「三相400V」のいずれに対応しているか確認します。
特にシャワー用の大パワーモデルを導入する際は、
建物の受電設備(キュービクル等)やブレーカー容量に
どの程度の空きがあるか、事前に電気施工業者と確認して
おくことが大切です。
Step3:設置スペースと「配管距離」を確認する
個別給湯のメリットを最大限に引き出すためには、
お湯を使う蛇口の「すぐ近く」に設置することがポイント
です。スティーベルの瞬間式温水器は貯湯タンクがないため、
シンク下や天井裏、壁掛けなど、限られた狭小スペースにも
すっきり収まります。
Step4:メーカーのサポート体制を確認する
長期にわたり安心して運用するために、 メーカーの保証期間
に加え、万が一の故障発生時に迅速に対応してもらえる
サポート体制があるかを確認することが重要です。
瞬間式小型電気温水器のメリット・デメリットと対策
セントラル給湯からの切り替えを検討する際は、コスト削減効果だけでなく、メリット・デメリットの双方を把握することが重要です。
メリット:コスト削減以上の4つの付加価値
1. 利用者満足度の向上:「お湯待ちストレス」を解消し、快適性を高めます。
2. 安全性の向上:適切な温度供給と温度機能により、利用者の火傷を防止します。
3. 省スペース化:従来の巨大な機械室スペースを他用途へ有効活用できます。
4. BCP対策(事業継続計画)の強化:万が一故障が発生しても影響が1台のみに限定され、システム全体の停止を防ぎます。
デメリットと効果的な対策
大パワー(三相400V)が必要なため、受電設備の確認が必要
• 対策: シャワー用の瞬間式温水器は、短時間で高いパフォーマンスを出すために「三相400V」を使用します。導入にあたっては既存のキュービクル内に400V用トランス(変圧器)の増設が必要になるケースが一般的ですが、400V化により、客室までの配線を細く抑えられるため、建物全体の配線工事コストを低減できるメリットがあります。初期費用にトランス費用を含めても、ガス配管の更新費用や将来の光熱費削減分で十分に早期回収が可能です。まずは電気工事店とキュービクルの空きスペースを確認してください。
設置場所ごとに電源確保と配線工事が必要
• 対策:給湯箇所ごとに機器を分散設置するため、それぞれの場所に電源が必要です。リニューアル(改修)の際は、配線ルートや配電盤の回路の空きを設計段階で電気施工業者と連携して確認することで、スムーズかつ低コストで導入できます。
【導入事例】大手ホテルチェーン採用 シャワー用瞬間式小型電気温水器 DHB-Eシリーズ
メリットや対策を整理したところで、実際に宿泊施設で選ばれている
具体的なソリューションを見ていきましょう。
数あるラインナップの中でも、特に過酷な稼働状況が求められる
大手ホテルチェーンにおいて、採用実績を誇るのが『DHB-Eシリーズ』です。
給湯室やシャワールームのエネルギー効率を最大限に高めるためには、
必要な時に必要な分だけを沸かす仕組みが理想的です。
主に大型ホテルや商業施設の一括導入向けに開発された
「三相400V」仕様の瞬間式電気温水器をご紹介します。
瞬間式小型電気温水器 DHB-Eシリーズは、ヒーター容量が18kW〜27kWと非常に強力です。これにより、
冷たい水からでも一瞬で潤沢な湯量のシャワーを作り出すことができます。
入水温度・出湯温度・流量を3つのセンサーで監視するスティーベル独自の「3iテクノロジー」を搭載しています。
30℃〜60℃の間でダイヤル設定した温度を常にキープし、快適なシャワー環境を提供します。
本体の厚み(奥行き)が非常に薄く、軽量です。
ガス給湯器のような排気設備が一切不要なため、ホテルの客室の天井裏やデッドスペースにもすっきりと設置できます。