第一種熱交換換気システムとは?
第一種熱交換換気システムの仕組みや種類を解説
日本スティーベルの換気システムは全て第一種熱交換換気システムです。
ダクトレス式とダクト式、全熱交換式と顕熱交換式等、幅広いラインナップがございます。
ここでは第一種熱交換換気の仕組み、設置方法や熱交換方式の違いによる特徴、機器の選び方について解説します。
熱交換換気とは?
換気の際、屋外に排出する汚れた空気(排気)から熱を回収し、新鮮な外気を室内に取り入れる(給気)時に、その熱を再利用する換気方法のことです。
この仕組みにより、外気温は室温に近づいてから室内に給気されます。
ダクトレス式でもダクト式でも熱交換換気は可能です。(ダクトレス式、ダクト式について詳しくは後ほど解説します。)
例えば熱交換率が90%の場合、
冬/外気温が0℃で室温が20℃だった場合:外気は0℃のままではなく、18℃程度まで温まってから室内に給気されます。 ※図1
夏/外気温が30℃で室温が20℃だった場合:外気は30℃のままではなく、21℃程度まで下がってから室内に給気されます。
熱交換換気は、冷暖房費の削減、快適性アップも期待できる換気方法です。
経済的でお財布に優しく、省エネで環境に優しく、清潔・快適で人にも優しい、今や戸建住宅のみならず施設や集合住宅にも必須の設備の1つと言えます。
図1
(ダクトレス式イメージ)
(ダクト式イメージ)
どうやって熱交換しているの?
熱交換の仕組み
熱交換は、換気システムに内蔵されている熱交換素子で行います。
室内の汚れた空気が熱交換素子を通って排出される際に、熱交換素子に熱を蓄えます。
新鮮な外気は熱交換素子を通り、蓄えられていた熱を回収してから室内に給気されます。
日本スティーベルの熱交換システムは高性能な熱交換素子と優れた設計技術により、最大90%以上の高い熱交換率を実現しました。
熱交換換気システムを取り入れるメリット
熱交換換気システムがなぜ必要なのか、熱交換換気システムを導入する代表的なメリットを4つご紹介します。
省エネになり、冷暖房費が削減できる
住宅の熱損失の30%は、換気によるロスだと言われています(第三種換気システムの場合)。
第三種換気システムや窓を開けて換気をした場合、せっかく冷暖房した空気を外に逃がしていることになります。
これは快適な室温を維持するためにまた冷暖房が必要になり、その分の冷暖房費がかかるということです。
一方で第一種熱交換換気システムは外気を室温に近づけて給気するため、この冷暖房の無駄を減らします。
熱交換率90%ということは、換気による熱損失が30%から3%となり省エネ、冷暖房費の大幅削減に繋がるのです。
身体に感じる快適性がアップする/温度差による不快感が減らせる
第三種換気システムの場合、壁の自然給気口から冬は冷たい空気、夏は暑い空気がそのまま室内に入ってきます。
この温度差で不快に感じたことのある方もいるのではないでしょうか?
第一種熱交換換気システムでは外気と室温の温度差が少ない状態で給気されるため、この不快感が軽減されます。
(第三種換気システム 自然給気口)
自然給気口から冷たい空気が入ってきている様子が分かります。
(第一種熱交換換気システム 給気口)
給気される温度と室温の差が少ないことが分かります。
外気からの有害物質をシャットアウトし、室内を清潔に保てる
空気中には花粉、PM2.5、アレルゲン、埃など目に見えない有害物質が多く含まれています。
窓を開けて換気するとこれらの有害物質が室内に入ってきてしまいます。
第一種熱交換換気システムには高性能フィルターが装備されており、これらの有害物質の多くをシャットアウトします。
室内の空気が清潔に保たれるため、導入前と比べて家の中にいる時のアレルギーや花粉症の症状が軽減したという声も聞かれます。
結露を防止できる
第一種熱交換換気システムは給気と排気の両方を機械でおこないます。
室内に溜まった湿度も強制的に排出されるため、第三種換気システムと比べて、より結露の発生を防ぐことが可能です。
第一種熱交換換気を導入する際の留意点(デメリット)
ここでは第一種熱交換換気システムのメリットを生かすため、事前に知っておきたい留意点(デメリット)をご説明します。
導入コストがかかる
導入コストは高くなる傾向があります。
第三種換気システムが排気のみを機械で行うのに対し、第一種熱交換換気システムは給気、排気共に機械で行うため、その分本体や設置のための工事費用が必要になります。
一方月々の換気システムにかかる電気代の目安はわずか約450円(VLR-70本体4台設置、中運転利用の場合)です。
さらに冷暖房費が大幅に削減できますので、導入費用の差額は約17年で回収、長期的に見るとさらにお得になります(※)。
※算出条件:第三種換気システム(パイプファン)3台とVLR-70本体4台利用時の導入費用、機器入替費用(1回)、35年間の冷暖房費の総計の比較 (当社調べ)
住宅の性能によっては十分に効果を感じられないことがある
気密性の低い建物では第一種換気(機械換気)が計算通りに機能しない可能性があります。
気密性が低いとは、隙間が多いということです。隙間が多いと室内の空気が漏れやすく、同時に外気も直接室内に入ってきやすくなります。
これでは給気口以外から直接外気の出入りが増え、せっかく第一種熱交換換気システムを採用しても効果を最大限に得られない可能性があります。
一般的に、第一種熱交換換気システムの効果が得やすくなるのは、気密性を示すC値が1.0以下の住宅と言われています。
ダクト式とダクトレス式の違いと選び方
第一種熱交換換気システムには、設置方法の異なるダクト式とダクトレス式があります。
ここでは違いやそれぞれの特徴をご説明します。
ダクトレス式
ダクトレス式は、換気システムの本体を直接建物の外壁に設置するタイプです。
ダクトの配管は必要ありません。
ダクト式
ダクト式とは、天井裏や床下にダクトを配管して設置するタイプです。
換気システムの本体は壁掛けまたは天井隠蔽が一般的です。
ダクトレス式がお薦めの方
ダクト配管のスペースがなくても熱交換換気を導入したい方にお薦めです。
ダクト式がお薦めの方
外気フード(開口部)の数が少なくなるため、外観の意匠性にこだわる方にお薦めです。
ダクトレス式のメリット
- 設計、施工が簡単なため、工法を選びません。
ダクト配管が難しい場合(吹き抜けや勾配天井等)でも熱交換換気を導入でき、
施工に係る日数や費用も削減でできます。
- 大がかりなダクト清掃が必要なく、お住まいの方でお手入れが完結できます。
- 局所的な導入も可能です。
リフォームやリノベーションにお薦めの製品もございます。
ダクト式のメリット
- セントラル方式のため、壁穴が給気用、排気用各1カ所と少なくてすみます。
- クリーンゾーンとダーティーゾーンの明確なゾーニングが出来ます。
- 温度と湿度のどちらも交換する全熱交換式、温度のみを交換する顕熱交換式の
2種から選択できます。
ダクトレス式の留意点(デメリット)
- ダクト式と比べて開口部の数は多くなります。
ダクト式の留意点(デメリット)
- ダクトの設計、工事費が必要となります。
またダクト配管スペース確保のため、天井高が下がる場合があります。 - 設計上ダクトの長さや曲げが生じた場合、必要な換気量が適切に通らないことががあります。
✓ 日本スティーベルの製品には、ダクト長やフィルターの目詰まりなどで換気量が減ってしまった場合でも、自動でファンの回転数を調整し必要な換気量を維持する機能(定風量制御)が備わっています。
ダクト式 製品ラインナップ
熱交換方式:全熱交換式と顕熱交換式の違いと選び方
熱交換には、温度と湿度のどちらも交換する「全熱交換式」と温度のみを交換する「顕熱交換式」の2つのタイプがあります。
ここではそれぞれの特徴やメリット、留意点(デメリット)をご説明します。
全熱交換式
顕熱交換式
全熱交換式の特徴
・温度(顕熱)と一緒に湿度(潜熱)も交換します。
・熱交換素子には湿度も交換する素材が使われており、
一般的に熱交換素子の水洗いはできません。
✓ 日本スティーベルでは熱交換素子が洗える全熱交換式換気システムもあります
顕熱交換式の特徴
・温度(顕熱)のみを交換します。
・一般に熱交換素子には湿度を通さない樹脂が使われており、
素子が汚れた場合は水洗いが可能です。
全熱交換式のメリット
湿度を一定に保ちやすくなります。
冬場は屋内の湿度を保つことで乾燥を防ぎやすくし、梅雨時や夏場には屋外から給気される高い湿度をやわらげます。
冬場乾燥し、夏場は高温多湿な地域におすすめです。
顕熱交換式のメリット
湿気も臭いも回収しない為、浴室やトイレ等の排気計画も可能です。
寒冷地、ペットとお住まいで臭いを気にされるご家庭等にもお薦めです。
全熱交換式の留意点(デメリット)
浴室やトイレ等、湿気や臭いの強い空間からの排気計画はできません。
永年の使用により、熱交換素子の交換が必要となる場合があります。
顕熱交換式の留意点(デメリット)
冬場は室内の水廻り空間の余分な湿気を排出する事により、建物全体が乾燥傾向になる場合があります。